「僕は日本兵を殺した」私がアメリカのホスピスで見届けたのは、第二次世界大戦を生き抜いた人たちの最期だった。思い出の音楽とともによみがえってきたのは、語られずにいた数々の証言。「マンハッタン計画にかかわっていたんだ」男は涙ながらに告白し、「彼らが来る!ナチスが来る!!」女は恐怖に囚われつづけた――。これは、ひとりの音楽療法士が記録した、日本人の知らない「もうひとつの戦争の記憶」であり、「戦争」の比喩が不気味に飛び交う現代日本において、トランスナショナルに平和の意味を考えるための一冊である。