著者名:
大貫茂紀 | |
戦国時代、大名の「領土」は、一本の線でくっきりと線引きされ、地図上に色分けして示されるようなものではなく、支配地域の周縁部には帰属があいまいな領域=「境目(さかいめ)」が広がっていた。そこは人やモノや情報が行き交い、市が開かれる開放的な場であった。境目の領主や住人は、あらゆる情報を手に入れ、分析し、有利な方に味方しながら、戦国の世を生き延びてきた。大名もまた、境目の領主や住人を如何に味方として引き入れるかに腐心してきた。従来の戦国史研究では、境目が一定の空間的広がりをもつことは忘れられがちであり、一部の様相がつまみ食い的に論じられてきた。本書は、境目そのものにあえて注目し、その内部の具体的な様相をみていくことで、戦国社会の別の一面を描き出す。
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