亡くなった母親が遺した日記には、家族への感謝と将来を案ずる気持ちが記され、声が出せなくなる自身の病に対する苦悩もぶつけられていた。書くことでしか伝えることのできない母親の、長い遺言でもあり、話すことの代わりの「言葉のアルバム」でもあった。日々を綴るということは、そのような身近な人への感謝と惜別の言葉を遺していくことなのかもしれない。