わたしたちの人生には様々な苦難が、あたかも二重三重の関所のように待ち構えている。にもかかわらず、「人生に関所はなく、道は縦横に通じている」と、中国宋代に編纂された公案(禅の問題)集『無門関』はいう。生後一歳で脊髄性小児麻痺を患った著者が、自らの禅道場(黄檗宗)での修行体験と徹底した思索に基づいて『無門関』全48則の公案を読み解く。