著者名:
館淳一 | |
夫の交通事故は男性機能を奪っただけでなく、嗅覚をも奪い去った。それはフレンチのシェフにとっては致命的ダメージだった。彼の店をソムリエを兼ねたマダムとして盛り立ててきた妻は、自分が夫の嗅覚を補ってやれば、高級料理店は無理としても、庶民的な店くらいであれば再出発できると考えた。だが、担保もなしに新たに店を出すための資金調達は不可能だ。追い詰められた妻はかつての倒錯の世界に戻り、自分の肉体を担保にすることで資金を借りた。毎週一回、サディストに夜通し調教を受けるのが返済義務の一部だった。数ヶ月後、呼び出された夫の前に、フィスティング調教された妻の姿があった――熟練の筆致で描く倒錯した性の作品集。
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