本書は、ウィリアム・モリスが染色への飽くなき情熱を綴った論文の古典。1893年発行の『アーツ・アンド・クラフツ・エッセイズ』に掲載した『染色芸術論(原題:Of Dyeing as an Art)』の新訳です。染色は芸術表現のプロセスではなく、芸術そのものであるという認識で、技法や素材に徹底してこだわり抜いた染色技術論でもあります。実践と探求の人であったモリスは、安易な染色や、商業主義的染色にはあからさまな嫌悪を示す頑固な職人であり、自然界や手作業を徹底して愛する姿から、モリスの無垢な魂を感じることが出来ます。そして、ものづくりへの執念と情熱は、現在の21世紀においてもなんら変わることのない創作の本質であることを、モリスは教えてくれます。
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