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2024/02/21
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花と闇

作品詳細

娘の絞め付けのキツさは、過去に買ってきた女郎の誰よりも強烈だった女流ポルノ作家・わかつきひかるが、遊郭に売られた美少女・綾が、調教専門遊女へと堕ちてゆく様をハードに描く!第一話は、島原遊郭に売られたその日、女将の手により肉襞に媚薬を挿入された綾。綾の処女を買ったのは町衆から尊敬を集める高僧だった。「太夫は、床入りはめったにしない。嫌な男なら断ることができる。床入りするときは、切見世の遊女の何十倍のカネを取る。お姫様のように、誇り高いのさ」 女衒の男は、綾を子方屋(コンパニオン派遣会社)『梅川』に引き渡す道中、そう言って綾を慰めた。 江戸時代。呉服問屋『染松屋』の一人娘として大切に育てられた綾。数えで十四となった綾に悲劇が訪れる。両親が事業に失敗して自殺してしまったのだ。 天涯孤独となった彼女は、両親が残した莫大な借金を返済するために島原遊郭(京都)に売り飛ばされる。十四歳の綾を『梅川』が買ったのは、太夫へと育てるためだ。無駄飯を食わせる間、遊女の張りと芸事教養、性技を仕込み、高級遊女に育てるのだから、よほどの娘だけしか子供は買わない。 太夫になら、なってもいい......。「綾と申します。女将さん。これからよろしくお願いします」 綾は、希望を見つけようとしていた。島原の遊女は、太夫、天神、小天神、鹿恋、端女郎という順で安く買えるようになっていく。太夫は、最上級の遊女であり、一つの妓楼に一人か二人の麗質だ。 綾は麗質だった。この娘は、きっと島原一の太夫になる、と思わせる美しさを持っていた。水桃を思わせる透明感のある肌に、紅を刷いたようなちいさな唇。濡れたような大きな瞳。黒目がちの瞳は、娘が目を伏せるとき、男の保護欲を誘発するような、逆に嗜虐性を引き出すような、微妙な翳りを漂わせる。「大変だったねえ。おまえのご両親はよく存じあげていたんだよ。いい人たちだったのに、かわいそうにねえ。これからは、わたしを母と思ってゆっくりお暮らし。わたしのことはおかあさんと呼びな。おまえのことは、綾と呼ぶよ。月のものは、もうあるのかい?」「はい。あります」 か細い声で答える。男の居るところで、女の生理を口にするのが恥ずかしかったからだ。「いい着物だね。さすが、『染松屋』の娘だね。そうだね。まずは着物を脱いで、身体を見せてもらおうかね。着物をお脱ぎと言っているんだよ。綾には、姐禿になってもらおうと思っているんだよ。年齢もちょうどいい。今は、どこの店も、姐禿を抱えていないだろ。さっそく今日から、客を取ってもらうさ」 こうして、島原遊廓での調教一日目が始まった――。【著者プロフィール】わかつきひかる2001年にフランス書院ナポレオン大賞受賞して、頭角を現し、主にライトノベルの分野で執筆活動を続ける。07年に幻冬舎アウトロー大賞特別賞受賞、11年に宝島日本官能文庫大賞、岩井志麻子賞を受賞する。14年『ニートな彼とキュートな彼女』が『世にも奇妙な物語2014年春の特別編』に採用される。近著に『おいらん同心捕物控』『クリスティナ戦記 奉仕の姫騎士と国境の商人』『あきんど姫様』など多数。

出版社:ゴマブックス
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