テーブルに置かれた花束が甘い香りを放ち、部屋は少しずつ芳香に満たされていく。 雨の音を聞きながら、トオルが口を開くのをじっと待っていた飯島は、聞き逃してしまいそうなほど小さな声を耳にし、思わず顔を向けた。 「僕のこと好きだっていうのはホント?」 「ほんとうのことだよ……」 ――エリート社長秘書が、デザイナーの卵に一目惚れ。難題山積の恋の行方は?