あれはもう十年も前、凍えるように寒い日だった。私は本命校の受験を三日後に控えていた。当時は近所に住んでいたこの可愛いイトコ・侑の「お願い」を断れた事は、たぶん一度だってない。笑顔は昔のままでも、あんな「お願い」その場限りの話のネタにすぎなかったんだろうな。ほんの少し淋しいけどね…。高校生になり“男”になった彼からの大学合格のおねだりは――なんと私!? 「芽衣ちゃんが欲しいんだ」。子供の頃とは違う、熱を帯びた瞳で見つめられると断れなくて…。初めて知る大人の彼に、心も体も染められる…