物や人間をコピーできる能力・『複写』を継いだ夜都(よると)は十三年前に突如失踪したあの人を探すため毎晩のように出かけるのだが、ひなたはそれがイヤで仕方なかった。もどかしい想いをひたすら飲み込むある日、ひなたの右目に思いがけない景色が映り…。「あの人を探しに行かないで。僕だけを見て――」たったそれだけの言葉は、あなたを想うと言えなかった。