緑したたる山々と森に、優しく抱かれるようにして黒沼村はある。村の傍にある森はその奥に「禁忌の場所」を抱えていたが、村人たちは森を愛し、そこにおわす神々を信じていた。十三歳の「桜大」(おうた)もまた、この森の「不思議」を感じて育った。森には美しいものも怖いものもいる。センセイや魔法使いに導かれ、大人への入り口に立った桜大が出会うものは? 心の深奥を揺さぶる物語。