おれの名を呼び、微笑かけるこの男のことを、おれは知らない。 ある日、目が覚めた「いくと」の前にいたのは高校の一つ上の先輩「けんたろう」。しかし、いくとは彼を知らない。「お前 だれやねん」思わず問いかけるが、自分以外の周囲は何も感じていないようで、いくとは一人混乱する。そんないくとに、けんたろうは「ほんまに忘れてもーたん?」と逆に問いかけてきて――。