著者名:
花田祐実 | |
郁実は振られてヤケ酒を飲んで帰って来た。恋が破れた夜は真っくらくら。この先もう一生ときめきなんてないんじゃないかって、いつもながら思うのよ。アパートに付くと部屋の前に圭祐がいた。「何してんのよ、人んちの前で」「待ってたんだろ。郁実が泣いて酔っぱらって帰って来ると思って」「何よっなんで」「俺のネットワークを甘く見るなよ」圭祐が郁美の後から当たり前のように入って来る。「なんであんたまで入ってくるのよ」「恒例だろ。ヤケ酒の翌朝、必ず飲みたくなる野菜ジュース。失恋した時にだけ吸う煙草。美味しい水。お決まりのビデオ。こんな所だろ」「やな感じ」「いい加減覚えるさ。何回目?」言われなくたって分かってるわよ。
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