著者名:
花田祐実 | |
家庭教師先の沙紀の家で出会った霖子。夏の間だけ沙紀の家にいる従姉だという。あまりの美人で驚くが、2年前に夫を亡くした未亡人で、いまだに指輪をしているところを見ると、夫の事が忘れられないらしい。沙紀は「狙い目だよ」などど言う。「先生には大学にでも、ちゃんとお似合いの恋人がいるわよ、ね?」「いないんだな、これが」「じゃあ、ひとり者同士ね。仲良くしてもらおうかな、夏の間」うわー、なんて誘惑的なセリフ。誘惑的なシチュエーション。未亡人だぜ。そうだ、旦那が亡くなってから、まだ2年なんだ。写真の頃よりずいぶん頬がやせてたし、指輪も外していなかった。浮かれてる場合じゃないか。大人の女のほんの気まぐれだ。悲しい思い出の気晴らしさ。
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