今宵も江戸の町を騒がしくさせるのは、一匹の“鼠”だった――。貧しい庶民のために、悪人から金を盗んで夜な夜な小判をばら撒く“鼠”をしている喜久蔵は、ある雪の夜、町奉行の久兵衛により手負いになってしまう。逃げる途中ふと目に留まった「白椿屋敷」へと身を隠すが、そこには不思議な少年がただ一人住んでいて…。自身の正義を貫く喜久蔵と、世の規律を守る久兵衛。そして少年の願い。複雑な想いが絡まり合う、迫力の江戸ファンタジー!