人魚のリーセには、仲間に秘密の宝物があった。それは沈没船に積まれていた美しい青年の絵。彼女は「人間に近づいてはいけない」という人魚族の掟に背いて海辺の城へ通い、絵によく似た王子の姿を遠くから眺めることを小さな幸福としていた。子どもの頃に王子に助けられて以来の片想いだった。王子への想いと人間の世界への興味がつのったリーセはある日、魔女の力を借りて人間になろうと考えるが…。(51P)(この作品はウェブ・マガジン:ホラー シルキー Vol.3に収録されています。重複購入にご注意ください。)