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2024/02/21
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日本列島伝統構法の旅

著者名: 松井郁夫
作品詳細

この本は、1997年から1999年まで「建築知識」で連載された取材記録です。当時、1995年の阪神大震災後の傷跡の残る中で、耐震的な木造住宅の見直しが行われている最中でした。日本の伝統的な木造住宅は本当に地震に強いのか?これまでの大工たちの知恵を明文化するために、友人と「木造住宅【私家版】仕様書」を書きながら、本来の地震に強い日本の家造りとは何かを模索し始めていました。そこで多くの意見を大工職人を始め、構造設計者や研究者から集めました。その中で、伝統的な日本家屋を熱意を持って造っている大工職人と知り合い、大いに触発されたのです。そこで、連載が終わったあとも職人たちの言葉やつぶやきを書き留めておこうと全国を旅することにしたのです。その後2008年から2011年にかけて実施された国土交通省による「伝統的木造軸組構法住宅の耐震性能検証実験委員会・構法部会」で本格的な定義が以下のようになされました。「明治24年の濃尾地震以前に建てられた日本古来の構法を伝える庶民の住まい。通し柱と貫や足固めを多用し、胴差や筋違はなく、接合部に無垢の木の継手・仕口を使い、金物に頼らず地震や台風に耐える、伝統的な木組みの家」です。しかし残念ながら、この定義は、実験で得られた足元フリーの優位性を建築基準法に正確に追加出来ませんでした。当時の全国の大工職人たちの思いに答えられなかったことに悔いは残りましたが、この取材を通して、古来より日本の誇る伝統技術の発掘や発見を記録できたことは、今後伝統技術の発展と進化の役に立てると思います。当時の取材に応えていただいた棟梁や快く転載を認めていただいたエクスナレッジのご好意に感謝します。

出版社:ウエルパイン書店
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