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2024/02/21
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自己発展経済のための工学

著者名: 福田収一
作品詳細

工学(engineering)は、本来、自然界で得られない自分の期待(望み)をかなえる活動であった。動物でも道具を利用することはできるが、人間はそれでは満足せず、自分の好み、状況に合う道具をつくり(homo faber)、自分の夢をかなえようとしてきた。動物は現在に生きているが、人間は未来に生きることができるといわれている。未来とは期待である。期待を持ち、それをかなえることが工学の原点であったはずである。しかし、現在の工学は、動物と同様に現在に生きている。20世紀の工学は夢を売る活動であった。明日はどのような期待がかなえられるかと、人びとはわくわくして明日がくるのを待っていた。しかし、21世紀になると、人びとは何を期待すればよいのかわからなくなってきた。新興国、途上国が生き生きとしているのは、先進国の人びとが 20世紀に経験したように夢を見られるからである。しかし、現在のスピードで発展を続ければ、交換、分業経済を基盤とする産業形態はきわめて近い将来行き詰まるだろう。その為、今必要なことは、新しい社会・経済システムを指向した産業形態の創造である。これまでの工学、産業はストック(モノ)を追求してきた。しかし、会計の分野でもストックよりもキャッシュフローが重要となってきているように、いまや時代はフローの時代である。フローは、こうした会計などの分野での言葉以外に、心理学では、自分の活動にのめり込み、熱中している状況を指すとある。スポーツもゲームも、そして学習もフローである。時代は、いまや自己実現の時代であり、プロダクトではない、プロセスが重要となってきている。すなわち、フローが重要な時代へと急速に変化している。本書では、こうした視点から、いかに自分で自分の幸せをつくり出せるか、そして工学がそのためにどういう役割を果たせる可能性があるかを論じた。まさに夢の世界であるが、ぜひこの夢を正夢として実現させていきたいと願っている。

出版社:養賢堂
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