誰も知らない私を愛して――。時は昭和初期、激動の時代のなかで輝く帝都・東京。新聞記者の睦彦(むつひこ)はカフェーで役人に絡まれていた女性を助ける。彼女は評判の麗人で、その美しさにひと目で恋に落ちた睦彦。互いに求め合った二人だったが、彼女には秘密が…。翌朝、消えた彼女を探す睦彦がたどり着いた彼女の正体とは?身分格差、男女の隔たり、良家のしきたりとともに生き抜く時代に咲いた一輪の恋の物語。