男爵令嬢のマリエルは「メイドのアン」としてデラージュ公爵家に潜入している。有力貴族であるデラージュ公爵家の嫡男・ユベールとマリエルの姉との政略結婚を目論む父のため、なんとか姉がユベールとお近づきになるための情報を得ようとしているのだ。好奇心旺盛なおてんばであるマリエルにとっては、ちょっとした冒険気分。持ち前の人懐こさで屋敷に溶け込み、ユベールとの距離も縮めていく。しかし、ユベールのことを知っていくうち、マリエルの心には変化が生じていく。政略結婚のための情報収集だったはずが、いつしか純粋にユベールのことを知りたいと思うようになっていた。それはつまり、マリエルの中にユベールへの好意が芽生え始めたということで……。