年の瀬の押し詰まった十二月二十九日、警備員の卯城は常駐する建築現場の保安業務に就いていた。現場では作業員が行方不明となり、さては小学生の幽霊が出るなど、不可解な出来事が付きまとっている。地下駐車場を巡回中、卯城はコンクリートの床にある開口部から足を踏み外し、地下二階のエリアに転落した。携帯電話のバックライトを頼りに探索すると四方が壁に囲まれ、出口は天井部分にある開口部だけとわかった。置きっ放しにしてあった脚立を立て掛けて、開口部からの脱出を試みるが……。暗闇の中で卯城を襲う、黒い霧の正体とは……。