天才的な声を持つ端麗なソプラニスタ・槙一洋は、残酷に自分を捨てドイツに留学した恋人・岸本恭輔の記憶に囚われていた。声楽を通じて互いの才能に嫉妬し憧れるがゆえに、いっそう愛しいと焦がれる絶対の絆。そう信じていたからこそ深く傷ついた槙は、左手に癒えない傷痕を抱え続けていた。そして5年振りに岸本と再会する時「おまえは逃げたんだ」と、槙の抑えていた愛と憎しみが溢れ出し―!!螺旋のように絡み、高め合う珠玉の愛。