日本の文様美の原点、秋の風趣をデザインで愛でる日本の花といえば、多くの人は「桜」、そして「菊」と答えるでしょう。菊は長寿の象徴であり、百草の王ともいわれ、皇室の紋章となった高貴な花。そして菊の盛りがすぎるころ山を黄赤に染める紅葉を見て、私たちは一年の終わりが近いことを感じると同時に、その鮮やかな色に次の年への活力を見出してきたのです。本書は、気鋭の意匠家が日本の秋を彩る菊、紅葉の文様を一つひとつ丹念に心をこめて描き出しました。