著者名:
灰谷爽冶 | |
桂大輔・・・沙織のこういうところには、本当にいらいらさせられる。僕はもう返事をして、この話は終わったはずなのだ。近いうちにちゃんと決める、だからもう少し待って欲しい、と。深刻な話題を朝から蒸し返すなんてデリカシーがなさすぎる。これから行きたくもない仕事に向かわなければならないというのに。皆川沙織・・・さほど「好き」じゃなくったって、その言葉を使って体裁を整えるのはよくあることだ。わたしと大輔もご多分に漏れず、そんな感じだった。当時のわたしたちはどちらも、ちょっとばかり肌寒くて、人肌が恋しかったのだろう、きっと。そんな2人のハートウォーミングな恋物語。
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