夫・広幸の三回忌を終えた30半ばの春菜は、数年ぶりに生まれ育った地に足を運んだ。向かった先は幼馴染の拓磨の家。そこには幼い頃と変わらずダリアの花が咲き誇っていた。拓磨の母親に花をもらおうとインターホンを押すと、そこには四十半ばとなった拓磨の姿があった。「お袋が亡くなる前、ダリアをもらいに来る人がいるから、その人が来るまでは大事に育てろと言われたんだ」昔から決まっていた居場所で抱き寄せられた春菜は……。