潜水士という仕事柄、日常の半分近くを、まるで味噌汁のような海の中で過ごしている俺には、抱けそうな安い女を次々とモノにすることだけが、呼吸をとりもどすことのできる瞬間だった。「かわいそうな人」…初めて抱いた夜、まだ汗の引かない額をなでながら彼女はそう呟いた。似たもの同士――横浜のホテルで見せた彼女の涙は止められなかった……。