著者名:
著:バイロン・リース | |
人工知能は脅威か? 救世主か?「人類とは何か」が分からないまま、AIを理解することはできない。火、言語、農業、都市……人類の歴史をひも解きながら、AIの本質にせまる。ロボット。仕事。自動化。人工知能。意識をもつコンピュータ。スーパーインテリジェンス。豊かさ。仕事のない未来。「役に立たない」人間たち。「不足」の終焉。創造するコンピュータ。無限の富。仕事の終焉。永遠なる下層階級。インターネットの記事で、こういう類の言葉が踊るニュースを目にしたことはないだろうか。その筋書きは、未来への希望に満ちたポジティブな場合と、恐怖に満ちた暗い場合がある。なぜこのような両極端な話になってしまうのだろうか。様々な分野の、豊富な知識を持つ優秀な専門家たちの未来予測は、ちょっとどころじゃなく大幅に異なり、ときに真っ向から対立する。なぜビル・ゲイツやスティーブン・ホーキングやイーロン・マスクは人工知能 (AI) を恐れ、近い将来、人類の生存を脅かす存在になると警告するのだろうか? そしてなぜ、同じように大物のマーク・ザッカーバーグ、アンドリュー・エン、ペドロ・ドミンゴスらは、そういった主張がばかげていて反論するまでもないと一蹴するのだろうか? この論争の全てに根気よく付き合ったとしても、そこから得られるのは、混乱とフラストレーションくらいだろう。この状態を脱することはできるだろうか? 私は、きっとできると考えている。まず、専門家の意見が大きく食い違うのは、それぞれが知っていることが違うのではなく、信じていることが違うためであることを理解しよう。ただし、この本は、私自身の意見を声高に述べるものでは全くない。読者がこの本を読み進めるとき、私の意見がどうであるかにはたいした意味はないだろう。私のゴールは、この本を読み終えたあなたが、この本で取り上げる問いにあなた自身の信条がどういう答えを導くか十分に理解できていることだ。さて、この旅はどこから始まるだろう?実は、はるか昔、言語が発明された頃まで遡る必要がある。私たちがこの本で取り組む問題はトランジスタやニューロンやアルゴリズムではない。現実、人間性、心の本質に関する問いなのだ。「人間とは何か?」と問う前に「ロボットはどの仕事を人間から奪うのか?」と問うから、おかしなことになる。最初の質問に答えられない限り、二つ目の問いに意味のある答えを出すことはできない。そこで、私はあなたを、10万年にわたる人類史を眺める旅に招待し、旅の途中で様々な問いについて論じながら、来るべき未来について思いをはせようと思う。この本は、旅そのものだ。あなたが私と共に旅をしてくれることをうれしく思う。
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