十年前、夫が交通事故で先立った。さなえが女手一つで育てあげた息子も、いよいよ社会人となる。祝いのため、大学の仲間たちを家に呼びたいという息子に、さなえはある懸念を拭えなかった。かつて息子の同級生に、入浴を覗かれ、下着も盗まれたかもしれない……。不安なままその夜を迎えたさなえだったが、灯りを落とした部屋の中に、ふと息づかいを感じて……。