著者名:
逢見るい/nira. | |
通勤ラッシュの電車の中で行われている現状に誰も気づかない。赤いレースの下着の上から、何者かの指が容赦なく刺激する。涙目になったわたしは頬を上気させると、その人物を睨みつけた。するとクスリと笑った男が、わたしを愛おしそうに瞳を細める。その人物は、私の部下で、年下の彼氏。会社を出た瞬間にわたしが上司でなくなり、彼も部下ではなくなる。ただの、青年。ただの、というより、ただものではない、青年。子犬のようでオオカミみたいな、素直じゃないわたしの、愛しくて意地悪カレシ。
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