著者名:
佐伯真魚 | |
職場で「ユズちん」の愛称で呼ばれる僕こと鈴木譲(すずき・ゆずる)は、今春メイクアップスタジオに就職したばかりの二十歳。美形のカリスマ・メイクアップアーティスト、浅羽公彦(あさば・きみひこ)先生は、新人にとっては憧れであり、雲の上の存在だ。 片付けをしていたある晩、不意に現れた先生が、思いがけなく僕自身の体をモデルに実技指導をしてくださることになった。肌という肌を知りつくした先生の、あの神業をくり出す指でこんなところに触れていただけるとは……なんて幸せ者なんだろう、僕は。そして先生がこの職業を選んだ事情を知ったとき、メイクは人に幸せをもたらす大事な手段だと認識を新たにする。 それは、二人の間に本物の師弟関係が成立した瞬間であり、もう一つの大切な絆が生まれるきっかけにもなっていった−−作者ならではのフィンガーテクニックをテーマにした作風が冴え渡る単行本未収録短編、登場。
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