著者名:
睦月影郎 | |
教師をしている妻、志津江が突飛なことを言い出した。交通事故で父親をなくした教え子を居候させたいというのだ。母親はスナックのママをしているが、愛人が何人かいて、子供を邪魔にしているらしい。それで店の二階の狭い三畳間で生活するのでは、環境が悪過ぎる。すでに全寮制の中学に進学が決まっているから、それまでの間ということで志津江から申し出たそうだ。それが女子だと聞いてとりあえず承知したが、正直なところ貧乏じみた陰気な子を予想していた。だが、翌日引き合わされたのは、愛らしい口許にははにかむような笑みを浮かべた美しい少女だった。ほのかに漂う甘酸っぱい体臭に、男の欲望が淫らにうごめいて……。
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