著者名:
守屋洋 | |
孟子は、「孔子・孟子」あるいは「孔孟の教え」などと呼ばれているように、孔子の教えの正統な後継者と見られている。その孟子の言説をまとめたのが、本書の『孟子』七篇であり、理想的なリーダー像を提示したものである。孟子といえば、何といっても性善説が有名だ。だが誤解されやすいのが、人間の善を手放しで肯定しているわけではないこと。諸々の欲望にかき消されないよう、絶えざる修養を重ね、徳に磨きをかけることが大切だというのだ。だから政治家や組織のリーダーほど、「人の上に立つ者は、まず自分を磨け!」と主張する。ところで『孟子』は、日本でも朱子学が江戸幕府公認の学問になると、『大学』『中庸』『論語』とともに、「四書」として儒教を学ぶうえで、最も重要な原典と見なされるようになった。あの吉田松陰なども、『孟子』をひもとき、自らのあり方・政治のあり方を説いたのだそうだ。時代の閉塞感を打開する勇気が湧いてくる、必読の一冊。
話で読む | 巻で読む |