とある草木も眠る丑三つ時──、ヴァルカ・ダタクトは人ならざる存在として生まれ変わっていた。どういう経緯でこうなったかはすぐに分かった。見覚えのない場所にいることからして、誰かに運ばれたらしい。すぐさま人気のないところへ向かおうと小屋を出たものの、そこで青年アルディ・フローリと鉢合わせしてしまう。この姿を見られたことで半ば自暴自棄になるヴァルカだったが、相手から返ってきたのは「出立するのなら私もついていくよ。とにかく急ごう」という言葉だった。