「マリア、元気でね……」ああ、またか、この光景――。この日のために私はパピー育てをしているのに……。次から次にあふれ出てくる涙。どうしようかな、この空虚感。いつもそばにあったあの手触り、ぬくもり。ちょっとカールした長い毛。もう二度と触れることはないんだと自分に言い聞かせると、あまりのせつなさに、のどから勝手に嗚咽が。しばらく、泣こう。楽しくって寂しいパピーウォーカー生活8年の記録。