華族の城崎家の血が流れる咲弥は、母が芸者であったために満足な生活を与えられていなかった。それどころか、父親の命を受け、《羅刹》と名乗り城崎に不利な相手を次々に殺さねばならないのだ。そんな生活に不満を抱きもしない咲弥だが、姉の環のお供で出席した夜会で、松宮子爵の息子・亨に出会ったことで、自分の境遇に疑問を抱きはじめる。次第に亨に魅かれていく咲弥は……。※こちらの作品には、紙版に収録の口絵・挿絵等のイラストは収録されておりません。