君の音がほしい――指揮者である顕祐に誘われたのは広弥ではなく、双子の弟・広樹だった。それから四年。ある事情から外部には秘密で広樹の名で能管の仕事をしていた広弥は、そうとは知らぬ顕祐と再会し、約束どおり自分の作った曲を演奏してほしいと頼まれる。顕祐に憧れていた広弥は真実を言えぬまま承諾したが、顕祐に「広樹くん」と呼ばれるたびに言いしれぬ苦しさを感じてしまう。憧れが肥大し、名前を偽ることに広弥が耐えられなくなった時、広樹が現れて…。