名君・保科正之の来歴を、爽やかに描きだす。生まれた直後に養子に出された徳川秀忠の庶子、保科正之。不遇にも見える生い立ちの陰には、彼を思いやる多くの人々がいた。養母となった武田信玄の娘、見性院。人徳の高さを買われ、養父となった高遠藩主、保科正光。そして陰に日向に力になってきた老中、土井利勝。江戸城の外で育った「将軍の子」は、いかにして稀代の名君と呼ばれるに至ったのか。今もっとも注目される歴史時代小説の新鋭が、その半生を辿る。※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。