著者名:
島本理生 | |
行方不明の父、未完の『銀河鉄道の夜』、書きかけの小説。三つの未完の物語の中に「私」は何を見い出すのか?人生の岐路に立つ女子大学院生を通して描く、魂の彷徨の物語。世界が新型コロナウイルスに見舞われた夏、日本文学科の大学院生の春は創作による修士論文と宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を扱った副論文の準備をしていた。未だ書かれずにいる春の小説と未完に終わった賢治の作品への思い。そこには幼いころに失踪した父の存在が影を落としていた。父との記憶を掘り起こすうちに、現在の自身の心の形も浮き彫りになっていく。すると、彼氏の亜紀君との関係が現在のままでよいのか、という疑問が春の中に生まれて……。
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