2016年上半期芥川賞 候補作。「この病気に四十代初めでかかるのは稀(まれ)らしい」サンドイッチ屋を営んでいた妻は、がんに冒され、死へと向かって歩む。生命保険会社勤務の夫は、時短勤務に切り替えて週に五日、病院へ通い、愛する妻へと柔らかい視線を投げかける。「淡いのも濃いのも近いのも遠いのも、すべての関係が光っている。遠くても、関係さえあればいい。」 (本文より)