海外営業部長、望月正幸は、贈賄行為に携わっていた。それに気づいた浮気相手の夏目は、告発するとともに「逃げて」と正幸に懇願する。結果、行方をくらました正幸の妻、娘、姉……残された者たちのその後は。正幸とはどんな人間だったのか、なぜ逃げなければならなかったのか。『誰かが足りない』の著者が、人間の弱さと強さに迫る連作短編集。