龍馬の形見、桔梗紋の入った袖の理由。世の中を変えたい。身分の枠をとっぱらった新しい世をつくるため命をかけて奮闘した坂本龍馬。北辰一刀流の千葉道場の娘として生まれ、幼いころから剣術、槍、乗馬といずれも免許皆伝。十九歳となったときには大名屋敷に招かれ、奥の女たちの指南役していた、千葉佐那。坂本龍馬の許嫁だった佐那の人生は波乱に満ちていた。龍馬が江戸に戻ると信じていた佐那は三十年以上の時を経て、龍馬の形見「袷の袖」の物語を語りはじめた。