美濃国府の館に仕える下人の赤兄は、数年来病臥する夫を持つたもとの逢瀬に溺れていた。折から美濃国を跋扈する盗賊の首領八首が配下の密告により捕らえられ処刑されたが、獄吏を命じられた赤兄が持ち場を離れ、たもと密会中に八首の遺体が盗まれた! 愛する赤兄の窮地を救うため、たもが取った恐るべき行為とは……。表題作他、時代小説の第一人者が人間の業を鋭く描く傑作集。