倉田春夫、三十ウン歳、公務員。九時出勤、五時退庁の判で押したような毎日を繰り返していた。そんな彼の生活に変化が起きたのは、故郷の両親が見つけてくれた加津子と結婚してからだ。いつのころからかセックスは至上の悦びといった観念が脳裏に染みつき、ソープでは経験できない幻影を追い求めていた。たしかに、加津子とのセックスは素晴らしかった。が、それも時とともに色あせ、今日もまた女を渉猟する。