加洋清志は30歳を過ぎた頃から、毎年開かれる高校の同窓会を楽しみにしていた。時事放談も議論もなく、どの顔もただ懐かしい。しかし、加洋が本当に会いたいのは、渡瀬美沙登。青春のマドンナであった。年月を経た美沙登は、全身から匂いたつような艶っぽさを発散していた。「これが、20年間待っていたものなのね……」。肉欲のすさまじい風が二人を包み込み、失われた時間を取り戻すかのように、幾度も貪り合った――。『初恋バージョン』ほか、鬼才の妖艶エロティシズム作品集。