お使いに走ると駄賃をはずんでくれた、ころころと表情の変わる、あの色白で赤い唇のキャリー。進駐軍兵士のマイケルをダーリンと呼び、ステーキやキャンベルスープのいい匂いを漂わせ、いつも腹を空かせていた俺たちきょうだいに、チョコレートやキャンディーをわけてくれた気のいい女。彼女は、生き別れた息子ケントに会えたのだろうか――。ほろ苦いプリンの思い出と戦後のキャンプ地周辺の暮らしを鮮やかに描く、著者の新境地。