定年を迎え、10年前に消えた亭主の行方を追って滋賀から上京した妙子。到着早々に財布を失くし途方にくれる彼女に、谷中にある滋賀県人が格安で泊まれる施設「東京近江寮」の管理人安江が声をかける。料理上手な妙子は宿泊客に美味しいごはんを提供しながら、食べること、生きること、進むこと、を考える。小説宝石新人賞を受賞し『もじゃもじゃ』でデビューした著者が、近江料理を愛する熟年夫婦の惑いを描く、初の書下ろし長編!