ここは本当におとぎ話のようだよ。寝床はふかふかで、おいしい料理は食べきれないほど。おふろは薔薇の香りがするんだ。――でも、ここは僕の生きる場所じゃない。キャラバンの孤独な少年が、砂漠で出会ったのは王子様でした。素敵な夢があって、努力家で、とても優しい王子様。知れば知るほど、つのる想いを止められない少年でしたが、出て行く決心をして――。広い夜空に瞬く小さな星のような、慎ましくも純粋な恋のおとぎ話。