小説家兼画家、モデルでもある伊久磨(いくま)はマルチアーティストの女たらし。一方、海洋生物研究所に勤める兄・拓馬(たくま)は誠実に仕事に没頭する研究者だ。海辺の別荘から研究所に通う静かな毎日だったが、六本木のマンション生活に飽きたという理由で伊久磨が転がり込んできた。そんな中、二人は渚に打ち上げられていた美女を拾う。彼女は記憶も声も失い、まるで人魚姫のようだ。よっぽどつらい過去があるのか…。物憂げな様子で海を見つめる彼女に、兄弟それぞれの心が支配されてゆく――!?