安永五年、豊後岡藩の馬廻り役・神守幹次郎は、意に沿わぬ婚姻に苦しむ納戸頭の妻・汀女と出奔した。幼馴染の二人は妻仇討の追っ手を逃れ、当てのない流浪の旅に出る。やがて江戸に出た幹次郎たちは、幕府が唯一許しを与えた遊廓にして千金の町と謳われる吉原遊廓の前で、汀女の弟・信一郎の危難に出くわすのだが――。幹次郎と汀女、二人の伝説がここに始まる。