著者名:
栗山なつき | |
貴方の舌が、私の口の中を舐めてくる。「胸…揉みたい。出して?」私は貴方の言いなり。「ね…いい?」拒むことなんて出来ない。でも、その前に一つだけ教えて。貴方は、誰なの…?――恋に堕ちるのは一瞬だった。あの日、ずぶ濡れだった私に着ていたシャツを貸してくれた貴方。名前も聞けなかったけれど、貴方が今どきシャツに名前なんて書く人だったから、私は貴方に辿り着けた。2年C組 田ヶ久保緑くん。シャツを返す口実で私は貴方に会いに行ったけれど、そこにいたのは貴方じゃなかった。貴方にそっくりな、別の人。それが判るのは、私ともう一人、美砂子だけだった。そして私、衣音と美砂子の、恋の共犯が始まった―――。
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